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カッター

カッターの正しい切り方|まっすぐ、安全に切るためのコツ

定規に沿って切ったつもりが、途中で線から外れてしまう。段ボールがなかなか切れず、つい力を込めてしまう。カッターを使っていると、そんな場面に出会うことがあります。仕上がりと安全のために特に見ておきたいのは、刃を出す長さ、定規の当て方、材料の押さえ方、切る回数の4つです。たとえば刃は、折れ刃式なら折り筋1本分より長くは出しません。答えを先にまとめ、そのあと章ごとに説明します。

先に結論折れ刃式の刃は、折り筋1本分までを目安に、材料の厚みより少し長い程度だけ出します。定規は厚いものを選んで背側に刃を当て、押さえる手は刃の進む方向に置きません。一度で切ろうとせず、軽い力で2回、3回と刃を通します。力を込めないと切れないときは、刃か材料が合っていない合図です。
確かめること目安避けること
刃を出す長さ折り筋1本分まで。材料の厚みより少し長い程度長く出して力をかける
定規厚い定規の背側に刃を当てる薄い定規や傾斜のある側で切る
押さえる手刃の進む方向から外して置く刃の先に指や手を置く
切る回数軽い力で数回に分けて刃を通す一度で切ろうと力を込める

刃を出す長さの目安

切り始める前に、最初に見ていただきたいのが刃を出す長さです。刃は長く出すほどしなりやすく、横から力がかかったときに不意に折れることがあります。冨木金物商店では、刃を出しすぎず、手元を安定させることを大切な点としてご案内しています(カッター選びの基本をまとめた「カッターの選び方」より)。

折れ刃式は折り筋1本分までが目安

折れ刃式の刃には、刃を折るときの目印になる斜めの筋(折り筋)が等間隔に入っています。メーカーの使い方の案内では、折れ刃式の刃を出す目安は折り筋1本分とされています。それより長く出すと、不意に折れることがあるためです。この記事でも、折り筋1本分を上限の目安としてご説明します。

折り筋1本分折れ刃式の刃を出す長さの目安です。これより長くは出さないのが基本です(メーカーの使い方の案内より)

この目安は折れ刃式についてのものです。折り筋の無い1枚刃を使う「刃を丸ごと交換するタイプ」は、刃の出し方が本体によって違うので、本体の説明書に従ってください。

材料の厚みより少し長い程度で足りる

折り筋1本分は上限の目安で、いつもそこまで出す必要はありません。段ボールを切るときは、刃は段ボールの厚みより少し長い程度で足ります。薄い紙を1枚切るだけなら、刃先がわずかに出ていれば切れます。

必要以上に出した刃は、材料の向こう側まで届きます。段ボール箱を開ける作業では、刃を出しすぎていると中の品物まで切ってしまうことがあります。出す長さを材料の厚みに合わせるのは、仕上がりのためだけでなく、材料の下や奥にあるものを傷つけないためでもあります。

刃を出したらロックを確かめる

刃を出したら、切り始める前にロック(刃を固定するつまみやネジ)がかかっているかを見ます。ロックが甘いと、切っている途中で刃が本体に戻ったり前へ出てきたりして、決めた長さが保てません。ロックのかけ方は本体によって違います。オートロック式の本体は、その名のとおりロックが自動でかかります。ネジで締めるタイプは、ネジをしっかり締めてから使います。切り終わったら、刃は本体の中まで戻してから手を離します。

こう考えていませんか「刃は長く出したほうが、厚いものも一気に切れそう」
そう思って刃をいっぱいまで出す方もいらっしゃるかもしれません。ただ、長く出した刃ほどしなりやすく、力をかけた拍子に不意に折れることがあります。厚いものほど刃は短めにして、回数で切り進めるほうが手元が安定します。

刃の長さとロックが決まったら、次は線をまっすぐに保つための定規の当て方と、材料を押さえる手の置き方です。

定規の当て方と材料の押さえ方

まっすぐ切りたいときは定規を使います。ただ、当て方を誤ると、まっすぐ切るための道具がけがのもとになります。ここでは、定規の選び方と当て方、押さえる手の置き方、作業する場所の順に見ていきます。定規に沿って長く切る作業では、本体の形でも切りやすさが変わります。「用途別のおすすめカッター」もあわせてご覧ください。

定規は厚いものを選び、背側に刃を当てる

定規で切るときは、厚みのある定規を選び、刃は定規の背側(縁が斜めになっていない、厚みのある側)に当てます。定規の当て方によってどうなるかを、2つ並べて比べます。

薄い定規・傾斜のある側
刃が定規の縁に乗り上げやすく、乗り上げた刃が定規の上を滑ってけがのもとになります。
厚い定規の背側
刃が定規の側面に沿って進むので、線から外れにくくなります。

手元の定規が薄いものなら、カッターで切るときだけでも厚みのある定規に替えると、刃の通り方が変わります。目盛りのある側と刃を当てる側が同じとは限らないので、使う前に定規の縁の形を見ておきます。

押さえる手は刃の進む方向に置かない

定規と材料を押さえる手は、刃の進む方向から外して置きます。刃の進む先に指や手があると、勢い余って刃が走ったときに、そのまま手に届いてしまいます。定規で切るときも、定規を使わずに切るときも同じです。

たとえば刃を奥から手前へ引いて切るなら、押さえる手は刃より奥の側に置き、刃が手から離れていく向きで切ります。定規を押さえる指先が、刃を当てる側の縁からはみ出していないかも、切り始める前に見ておきます。

カッターマットを敷き、平らな台で切る

材料の下にはカッターマット(刃を受け止める専用の下敷き)を敷き、がたつきのない平らな台の上で切ります。マットを敷かずに切ると、刃が机まで通って傷をつけるうえ、刃先が欠けたり切れ味が早く落ちたりします。

カッターマット

材料の下に敷いて刃を受け止めます。机を傷つけず、刃も傷みにくくなります。

平らな台

がたつきのない台の上で切ります。台が揺れると、定規も材料もずれます。

体の正面

切る線が体の正面に来るように、材料のほうの向きを変えてから切ります。

無理な体勢で切らないことも大切です。腕を伸ばしきった位置や体をひねった姿勢で切ると、余計な力がかかって手元が乱れます。切る線が長く、途中で体の正面から外れてしまうときは、いったん手を止め、材料の向きを変えてから続けます。

定規の当て方と手の置き方、作業する場所が整ったら、残るのは刃の通し方です。

一度で切らず数回に分ける

厚みのあるものを一度で切ろうとすると、どうしても力が入ります。力を込めた刃は、材料から抜けた瞬間に勢い余って進みやすく、線からも外れやすくなります。冨木金物商店では、一度で切ろうとせず、数回に分けて刃を通す切り方をご案内しています。

1回目は線をなぞるように

1回目は、定規に沿って軽い力で刃を引き、線をなぞるように浅い切り込みを入れます。この切り込みが溝になるので、2回目からは刃が溝に沿って進み、線から外れにくくなります。2回目、3回目と同じ溝に刃を通し、少しずつ深くしていきます。

力を込めないと切れないのは合図

軽い力で何度か刃を通しても切れないときは、力を足す前に、刃か材料のどちらかを見直します。メーカーの案内でも、かなり力を入れないと切れないときは、切れ味が鈍っているか、カッターで切るのに向かない素材である可能性があるとされています。

刃のほうは、切れ味が落ちた・切断面が荒れてきた・力が必要になった、の3つが刃を交換する合図です。どれか1つでも当てはまれば、刃先を折るか刃を替えます。刃の折り方と交換の手順は、「カッター刃の交換・折り方・捨て方」でご紹介しています。

力を足す前に刃が進まないからと体重をかけると、刃が材料の表面を滑り、押さえている手のほうへ流れることがあります。力が要ると感じた時点で手を止め、刃先を新しくしてから続けます。

材料のほうは、厚みと硬さを見ます。刃を新しくしても進まない材料は、カッターで切る作業に向いていない可能性があります。無理に切り続けず、どの道具が合うかを確かめてから進めます。ここからは、家庭で切る材料ごとに見ていきます。

材料ごとの切り方のコツ

ここまでの3つ(刃を出す長さ、定規と押さえ方、切る回数)は、どの材料にも共通します。そのうえで、材料によって扱いやすい刃の幅や、気をつけたいところが変わります。家庭やDIYで扱う4つの材料について、当店でご案内している組み合わせを並べます。

紙・画用紙・包装紙

紙や細かな切り抜きが中心なら、9mm幅のほうが扱いやすい場合があります。

段ボール

段ボールなど厚みのあるものを切ることが多いなら、18mm幅が候補になります。

厚紙・工作の材料

厚みに合わせて刃の幅を選び、浅い溝をつけてから数回に分けて切ります。

壁紙・クロス

黒刃は、壁紙やクロスのように切断面をきれいに仕上げたい作業で使われます。

刃の幅によって、扱いやすい作業や切るものの範囲が変わります。幅や研ぎ方の違いは「カッターの刃の種類」でくわしくご紹介しています。以下では、材料ごとの切り方を順に見ていきます。

紙・画用紙・包装紙を切るとき

紙を切る作業は、段ボールほど厚みがないぶん、刃先の細かな動きがそのまま仕上がりに出ます。刃の幅が広いと、角や細かな部分の処理がしにくくなります。画用紙や包装紙を何枚か重ねて切るときは、一度で下まで通そうとせず、同じ線に2回、3回と刃を通したほうが切り口がそろいます。

段ボールを切るとき

段ボールには、箱を開ける作業と、箱を解体して小さく切る作業があります。開けるときは、テープを切ったり箱の底を開いたりと、刃に横から力がかかる場面が続きます。ロックがゆるいと刃がぐらつき、切り口が波打つので、切る前に固定を確かめます。解体して小さく切るときは、定規を当てて数回に分けて切ります。段ボール専用のカッターのように、切るものをしぼったタイプもあります。違いは「カッターの種類と特徴」でご紹介しています。

厚紙・工作の材料を切るとき

厚紙や工作で使う厚みのある材料は、数回に分ける切り方が特に生きる材料です。それでも途中で刃が止まるようなら、刃先が摩耗しているか、材料がカッターで切るには硬すぎる可能性があります。

硬い材料に当たったらベニヤ板のような板材は、小型のカッターで切らないようメーカーも注意を促しています。刃を新しくしても進まないときは、力を足さず、カッター以外の道具も含めて見直します。

壁紙・クロスを切るとき

壁紙やクロスのように、切り口がそのまま見える材料は、仕上がりの差が目立ちます。刃先が少しでも鈍ると、切り口がけば立ったり、端がめくれたりします。黒刃は切れ味を重視した刃なので、当店では、刃先の状態をこまめに見ながら使うことをご案内しています。

どの材料でも、切っている途中で「おかしい」と感じたら手を止めるのが基本です。次の章では、そうした場面から元になっている失敗をたどります。

切るときにやりがちな失敗

手元で起きることから逆にたどれるように、起きること → 元になっている失敗 → 直し方の順に並べます。切り始める前に一度目を通しておくと、途中で手を止めたときに、どこを直せばよいかがすぐに分かります。

線から少しずつ外れていく

刃を長く出しているか、一度で深く切ろうとしていることが考えられます。刃を折り筋1本分までに戻し、1回目は浅くなぞります。

刃が定規に乗り上げる

薄い定規か、縁が斜めの側に刃を当てています。厚い定規の背側に替えます。

切り終わりで刃が勢いよく抜ける

力を込めて一度で切ろうとしています。その先に手があると危ないので、軽い力で回数を重ねます。

途中で刃が引っ込む・前に出る

ロックがかかっていないか、ネジが緩んでいる状態です。刃を出したら、固定されているかを確かめます。

切り口がけば立つ・力が要る

刃先が摩耗している可能性があります。力を足さず、刃先を折るか刃を替えます。

5つのうち、上の4つは刃の出し方と当て方、切る回数を見直すことで防ぎやすい失敗です。最後の1つは刃そのものの状態なので、刃を新しくするほかありません。どれも、起きた時点で手を止めれば、けがや材料の切りそこないにつながる前に直しやすくなります。

まっすぐ安全に切るためのまとめ

カッターでまっすぐ、安全に切るために特に見ておきたいのは、刃・定規・手・回数の4つです。どれも特別な技術は要りません。作業の流れに沿って、切る前・切っている間・切り終わったらの3つの場面に分けて並べ直します。

切る前

刃は折り筋1本分まで出してロックを確かめ、厚い定規の背側に当てます。押さえる手は刃の進む方向から外し、下にカッターマットを敷きます。

切っている間

軽い力で数回に分けて刃を通します。力が要ると感じたら、手を止めて刃か材料を見直します。

切り終わったら

刃を本体の中まで戻してから置きます。出しっぱなしのカッターに手を伸ばすと、刃が指に当たることがあります。

切り方を整えても切りにくさが残るときは、道具の側を見直す時期かもしれません。「カッターの選び方」でご紹介している「材料」「厚み」「作業量」「本体に合うか」の4つに照らすと、刃の幅や本体が作業に合っているかを確かめられます。用途に合う本体は「用途別のおすすめカッター」、刃の折り方と交換は「カッター刃の交換・折り方・捨て方」でご紹介しています。

お問い合わせ

刃を短くしても、数回に分けても切りにくいときは、刃や本体が作業に合っていない可能性があります。切りたいものと、手元の本体のメーカー名・型番をお知らせいただければ、作業に合う道具選びのご相談を承ります。用途に合う道具や金物が分からないときは、お気軽にご相談ください。

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