「調理台に包丁を出しっぱなしにしておくのは危ない気がする」「引き出しに入れておいたら、刃が欠けていた」「それなら、包丁のしまい方を一度見直してみよう」。そう考えたご家庭の方に向けて、刃を傷めにくく、錆びを出しにくく、家族がけがをしにくい包丁のしまい方をご案内します。
| 確かめること | 確かめ方 | 確かめないとどうなるか |
|---|---|---|
| 乾いているか | 拭いたあと少し置き、刃と柄に水気が残っていないかを見る | しまった場所で錆びが出ることがある |
| 刃が当たらないか | 1本ずつ、刃がほかの包丁や金物に触れない形でしまえるかを見る | 刃が欠けることがある |
| しまう場所に湿気がこもらないか | 風が通り、湿気の少ない場所かを見る | 錆びが出やすくなる |
| 子どもの手が届かないか | 子どもが手を伸ばして届く高さや、開けられる引き出しではないかを見る | 子どもが包丁に触れて、けがをするおそれがある |
| しばらく使わない包丁を包んでいるか | 次に使うまで間が空く包丁を、乾かして新聞紙で包んでいるかを見る | 気づかないうちに錆びが出ることがある |
まずは、しまう直前に確かめることから見ていきます。
しまう前に、水気が残っていないことを確かめる
包丁のしまい方で最初に気をつけたいのは、しまう場所よりも、しまうときの包丁の状態です。ふきんで拭いたつもりでも、水気が残っていることがあります。洗い物を急いで片付けたいときに、拭いてすぐ包丁差しや引き出しへ入れると、残った水気が錆びの原因になります。
拭いたあとは、包丁が転がり落ちない乾いたふきんの上などに寝かせ、しばらく置いて水気を飛ばします。刃と柄に水気がないのを見てからしまいます。小さなお子さんがいるご家庭での置き場所は、後の章でご案内します。
使ったあとの洗い方・拭き方・乾かし方の手順は、「包丁の錆び取りと日々の手入れ」でご案内しています。次は、しまうときに刃を傷めないための扱い方です。
ほかの包丁や金物に刃を当てない
包丁の刃先(ものを切る、刃のふちの部分)は、ほかの包丁や金物に当たると、欠けることがあります。洗い物を片付ける場面で、何本かをまとめてつかんで出し入れしたり、ほかの調理道具と重ねて置いたりしないようにします。
刃が欠けてしまったときは、目の粗い荒砥石で欠けを取り、中砥石(ふだんの研ぎに使う砥石)で刃を整えます。荒砥石と中砥石の使い方は「砥石の選び方と使い方」でご案内しています。では、しまう場所ごとに気をつけたいことを見ていきます。
代表的なしまい方は、包丁差し・マグネット・引き出し・鞘やケース
ご家庭での包丁のしまい方として代表的なのは、次の4つです。どれが正解ということはありません。台所の広さや包丁の本数、小さなお子さんがいるかどうかで、候補が変わります。
調理台の上に置き、包丁を立てて差し込んでおく道具です。包丁スタンドとも呼ばれます。調理台に置く場所があり、よく使う包丁を立てておきたいときの候補です。
壁などに取り付けた磁石の板に、包丁を付けておく道具です。使う1本をすぐに手に取りたいときの候補です。
調理台の引き出しに、包丁を寝かせてしまいます。調理台に置く場所がないときや、包丁を外から見えない場所にしまいたいときの候補です。
包丁の刃をすっぽり覆う、しまっておく間のカバーです。付けたまま引き出しなどにしまいます。引き出しの中で刃を守りたいときの候補です。
小さなお子さんがいるご家庭では、子どもの手が届かない高さの扉や引き出しで、チャイルドロックを付けられる場所が候補になります(くわしくは後の章で取り上げます)。ここからは、それぞれのしまい方で気をつけたいことを見ていきます。
包丁差しは、切っ先を下に向けて、まっすぐ抜き差しする
包丁差しには、切っ先(刃の先端)を下に向けて立てておきます。差し込むときと抜くときは、柄を持ってまっすぐに動かし、刃を差し込み口のふちにこすりつけないようにします。
差し込み口が1本ずつに分かれていない包丁差しでは、中で包丁どうしが触れないように、間をあけて差し込みます。
マグネットのホルダーは、説明書のとおりに付け、刃を当てずに付け外す
マグネットのホルダーは、刃が外に出たままになるしまい方です。付けるときも外すときも1本ずつ、柄を持ってゆっくり動かし、隣の包丁や磁石の板に刃を当てないようにします。
ホルダーの取り付け方や、付けられる包丁は、製品の説明書のとおりにします。
引き出しは、乾いたふきんを敷いて1本ずつ並べる
引き出しにしまうときは、底に乾いたふきんを敷き、その上に包丁を1本ずつ並べます。包丁どうしや、ほかの調理道具と重ならないように置くのがこつです。
敷いたふきんが湿ってきたら、乾いたものに取り替えます。引き出しから取り出すときに刃に手が触れないよう、柄の位置を見てからつかみます。
鞘・ケースは、包丁が乾いてから付けて、引き出しにしまう
鞘やケースを付けると刃が覆われるので、引き出しの中でほかの物に刃が当たりにくくなります。取り出すときも、刃に手が触れにくくなります。
鞘やケースに入れる前も、包丁が乾いたことを確かめてから付けます。
洗いかごに置きっぱなしにせず、湿気の少ない場所にしまう
しまう場所を決めていても、つい置きっぱなしにしやすいのが、洗ったあとの洗いかご(水切りかご)です。
洗いかごの包丁は、食器を出し入れするたびに食器とぶつかって刃が欠けたり、はねた水で錆びが出たりすることがあります。使い終わるたびに、決めた場所へしまっておきます。
洗いかごから決めた場所へ移すときは、その場所の湿気にも気をつけます。包丁は、湿気の多い場所に長くしまっておくと、錆びが出ることがあります。ステンレスの包丁も、錆びにくいだけで、錆びが出ないわけではありません。しまう場所は、風が通り、湿気の少ないところを選びます。
小さな子どもがいる家庭は、使ったらすぐ手の届かない場所へ
小さなお子さんがいるご家庭では、包丁を使ったあとの片付け方と、しまう場所の選び方を見直します。子どもは、大人が少し目を離したすきに、台に上がって手を伸ばすことがあります。洗いかごに置いてあった包丁で、小さな子どもが指を切った事故も起きています。
調理台に置いたままにせず、すぐにしまう場所へ片付けます。
拭いたあとに少し置いて乾かす間も、子どもの手が届かない場所に置き、乾いたらすぐにしまう場所へ戻します。
子どもが手を伸ばしても届かない高さや場所を選びます。
包丁をしまう引き出しや扉には、チャイルドロック(子どもが開けにくくする留め具)を付けるなどの工夫をします。
マグネットのホルダーや包丁差しは、包丁が外に出たままのしまい方です。包丁差しは調理台の上に置くので、子どもが台に上がって手を伸ばすと届くことがあります。ここまでは毎日使う包丁のしまい方です。最後に、使う日が限られる包丁のしまい方を見ていきます。
しばらく使わない包丁は、乾かして新聞紙で包む
魚をさばく日にだけ使う出刃包丁のように、使う日が限られる包丁もあります。使う間が空く包丁は、しまったまま気づかないうちに錆びが出ることがあります。
しばらく使わない包丁は、よく乾かしてから新聞紙で包み、風通しがよく湿気の少ない場所にしまいます。新聞紙は、ほどよく空気を通すので、包丁のまわりに湿気がこもりにくくなります。
鋼(はがね)の包丁は、ステンレスの包丁より錆びやすいので、包む前に、刃の面へ薄く油をのばしておきます。油の塗り方は、「包丁の錆び取りと日々の手入れ」の鋼の包丁の章でご案内しています。久しぶりに使うときは、刃に錆びが出ていないかを見てから使います。
しまい方を決めておくと、刃も家族も守りやすい
しまう場所は、「乾いてからしまう」「刃を当てない」「湿気を避ける」「子どもの手が届かない場所に置く」の4つが守れるところを、台所に合わせて選ぶのが目安です。包丁差しでも引き出しでも候補になります。しばらく使わない包丁は、新聞紙で包んでおきます。出しっぱなしが気になっていた方も、しまう場所と出し入れの仕方を決めておくと、毎日の片付けの中でしまい続けやすくなります。
まずは今夜の洗い物のあと、手元の包丁がどこに、どんな向きでしまわれているかを見るところから始めましょう。
お問い合わせ
当店では、包丁の研ぎもできます。しまい方で迷ったときは、記事のはじめの表に戻ると、確かめることを順にたどれます。用途に合う道具や金物が分からないときは、お気軽にご相談ください。

