BLOG 一覧へ

住まいと暮らしのDIY

砥石の選び方と使い方|家庭の1本目と、へこんだ砥石の面直し

切れ味の落ちた包丁を、自分で研いでみたい。でも砥石は種類が多く、「どれを選べばいいのか分からない」「家にある古い砥石を捨てるのはもったいない」と迷いがちです。それなら、まず1本を決めて研ぎ始めてみましょう。この記事は、ご家庭で包丁を研ぐ方に向けて、最初の1本の選び方をご案内します。料理を仕事にしている方や、研ぎにこだわりが出てきた方向けの使い分けは、あとの章で触れます。

先に結論家庭で研ぎを始めるなら、包丁を当てる砥石は中砥石(目の細かさが中くらいで、ふだんの研ぎに使う砥石)の1本で足ります。選ぶときは、目の細かさの表示と、使う前に水へ浸すかどうかを確かめます。研いでへこんできた砥石は、面直し用砥石で平らに戻します。
確かめること確かめ方確かめないとどうなるか
目の細かさ(番手)表示の数字が#1000前後か、「中砥」の表示があるかを見る数字が大きく離れた砥石は、目の粗い荒砥石か目の細かい仕上げ砥石で、ふだんの研ぎには合わないことがある
水の使い方使う前に水へ浸すかを説明書で見る浸すタイプを浸さずに使うと、研げる状態にならない
面の平らさ研いだあと、真ん中に色が残っていないかを見るへこんだまま研ぐと、刃の角度が安定せず、うまく研げない
置き方研ぎ台(砥石を載せて固定する台)か濡れタオルの上で、砥石が動かないかを見る研いでいる途中で砥石がすべり、危ない

番手と水の使い方は砥石を選ぶとき、面の平らさと置き方は研ぐときに確かめるものです。研ぐ角度や包丁の動かし方は「包丁の研ぎ方」でご案内しているので、ここからは砥石の選び方と、面直し・しまい方を中心にご案内します。まずは、砥石の種類を分けている「番手」からです。

砥石は目の細かさ(番手)で、代表的な3種類に分かれる

砥石の箱や本体には、「#」から始まる数字が書かれています。これが番手(ばんて)で、砥石の目の粗さ・細かさを表す数字です。数字が小さいほど目が粗く、大きいほど目が細かくなります。

番手で分けると、代表的なのは次の3種類です。

荒砥石

目がいちばん粗い砥石です。刃が欠けたときや、刃こぼれを直すときに使います。

中砥石

荒砥石と仕上げ砥石の間の番手です。落ちてきた切れ味を戻す、ふだんの研ぎに使います。

仕上げ砥石

目がいちばん細かい砥石です。中砥石で研いだあと、切れ味をさらに高めたいときに使います。

番手の区切りはメーカーによって少しずつ違いますが、中砥石は#1000前後が目安です。中砥(なかと)として#1500ほどの砥石もあります。

呼び方もそろっておらず、#1000の砥石に「中荒砥」や「中仕上砥石」という名前が付いていることもあります。名前で迷ったら、中砥石かどうかは番手の数字で見分けます。では、3種類のうち、家庭で最初に買うのはどれでしょうか。

家庭の1本目は中砥石から

最初の1本に迷ったら、中砥石を選びます。家庭で使うなら中砥石が1本あれば十分で、初めての方もまず中砥石1つで大丈夫です。

こう思っていませんか「せっかく買うなら、荒砥石から仕上げ砥石まで3本そろえたほうがいい」
3種類それぞれに役目があるので、料理人の方や、研ぎにこだわりが出てきた方は、荒砥石・中砥石・仕上げ砥石の3つを使い分けます。ただ、ご家庭なら、荒砥石と仕上げ砥石は、研ぎに慣れて、使いたい場面が出てきてから足しても遅くありません。

1本目を手に取ったら、箱や説明書で、もう1つ確かめておきたいことがあります。その砥石を、使う前に水へ浸すかどうかです。

水に浸す砥石と、水をかけるだけの砥石がある

同じ中砥石でも、使う前の準備は砥石によって違います。人の手で作られた人造砥石(合成砥石とも呼ばれます)には、使う前に水に浸しておくものと、浸さずに水をかけるだけで研げるものがあります。

水に浸す砥石

使う前に桶などの水に入れ、小さな泡が出なくなるまで浸してから使います。

水をかけるだけの砥石

使う前に浸しておく必要がなく、表面に水をかければすぐに研げます。

泡が出なくなるのは、砥石が水を十分に含んで、使える状態になった合図です。浸す時間は砥石によって違うので、買った砥石の説明書に書かれた時間を守ってください。

このほかに、自然の石から作られた天然砥石もあります。天然砥石は水をほとんど含まないため、使う前に浸す必要はありません。

砥石を選ぶときは、箱や説明書で「使う前に水に浸すかどうか」を見ておきます。浸すタイプなら、砥石が丸ごと入る桶や容器も一緒に用意します。水をかけるだけのタイプでも、研いでいるあいだに表面へかける水は手元に置いておきます。砥石が乾いてきたときの水のかけ方は、「包丁の研ぎ方」の、刃の表側を研ぐ章でご案内しています。

1本目の中砥石と、その準備が分かったところで、残りの2種類を足す場面も見ておきます。

荒砥石・仕上げ砥石を足す場面と、足したときの使い方

刃先が欠けたり、刃こぼれしたりしたときが、荒砥石を足す場面です。ふだんの切れ味を戻すだけなら、荒砥石は使わなくてかまいません。

もう1つは、中砥石で研ぎ慣れてきて、もっと鋭い切れ味がほしくなったときです。このときに足すのが仕上げ砥石です。

2種類以上の砥石を使うときは、次の2つを守ります。どちらも、守らないと仕上がりに響く点です。

使う順番

目の粗い砥石から細かい砥石へ。荒砥石、中砥石、仕上げ砥石の順に使います。

砥石を替える前

包丁と手を水でよく洗い、前の砥石の研ぎ汁(研いだときに出る黒っぽい水)を落とします。

前の砥石の研ぎ汁が残ったまま細かい砥石で研ぐと、粗い粒で刃に傷が付くことがあります。手は、指と爪の間まで洗い流しておきます。研いだあとの刃は鋭いので、包丁を洗うときは刃先に指を当てないようにします。

どの番手の砥石を使っても、研いでいるうちに、砥石そのものも少しずつ削れていきます。次は、その砥石の手入れです。

へこんだ砥石を平らに戻す「面直し」

砥石は、包丁を研ぐたびに真ん中から少しずつへこんでいきます。へこんだまま研ぐと、砥石に当てる刃の角度が安定せず、うまく研げなくなります。へこみを削って、砥石の面を平らに戻す手入れを「面直し(めんなおし)」といいます。

面直しには、面直し用砥石(修正砥石とも呼ばれます)を使います。研ぎの道具として、中砥石と並べて用意しておきたいものです。中砥石と一緒に用意しておくと、へこみに気づいたときにすぐ直せます。

へこんでいるかは、真ん中に残る色で見分ける

研いだときに出た金属の細かな粉は、へこんだ部分にたまって色が付きます。研いだあとの砥石の面を見て、真ん中あたりに黒っぽい色が残っていれば、面がへこんでいる可能性があります。研ぎ終えて片付ける前に面を見る習慣をつけておくと、へこみが深くなる前に気づけます。

へこみに気づいたら、面直し用砥石で色が消えるまで削る

面直しの流れは次のとおりです。

削る

面直し用砥石と砥石の面を平らに合わせて、面全体を削ります。どちらを置いてどちらを動かすかと動かし方は、面直し用砥石の説明書に従います。

確かめる

真ん中に残っていた色の部分が消えたら、平らに戻った合図です。少しでも残っていれば、残りがなくなるまで削ります。

色が見えにくいときは、削る前に砥石の面へ鉛筆で格子状の線を引いておく方法もあります。線が消えたところは面直し用砥石が当たって削れているので、線が全部消えれば面全体を直せたことになります。

直す間隔は、研ぐ前に毎回直す方もいます。少なくとも、色でへこみに気づいたときは、片付ける前に直しておきます。

研いだのに切れ味が戻らないとき「包丁の研ぎ方」の手順どおりに研いでも切れ味が戻らないときは、砥石の面がへこんでいる可能性もあります。上の見分け方で面を確かめ、へこんでいれば面直しをしてから研ぎ直します。

面が平らに戻ったら、砥石を片付けます。

使い終わった砥石は洗って乾かし、室温でしまう

使い終わった砥石は、表面の研ぎ汁や削りかすを水で洗い流してから、水気を拭き取ります。汚れが残ったままだと、次に研ぐときに研ぎにくくなることがあります。そのあと、直射日光の当たらない場所で乾かし、乾いてから箱やケースに入れて、室温の場所にしまいます。面直しをした日もしなかった日も、水をかけるだけの砥石も、しまい方は同じです。

水に浸したまま置いておく
次に使うときは楽に思えても、浸しっぱなしは砥石を傷めるもとになります。
水気を拭いて、よく乾かしてからしまう
乾くまで待つ手間はかかりますが、砥石を傷めにくいしまい方です。

早く乾かそうとして、扇風機などの風を直接当てるのも避けます。急に乾かすとひび割れの原因になります。お湯や洗剤で洗うのも避けたほうがよいので、洗うときは水だけを使います。

ここまでで、砥石を選び、準備し、使ったあとに手入れをする流れはひととおりです。最後に、砥石選びで迷いやすいことをまとめます。

砥石選びでよくある迷い(両面の砥石・包丁の材質・研ぎ台・古い砥石)

両面の砥石は1本目に選んでもよい?

砥石には、表と裏で番手の違う「両面の砥石」もあります。たとえば、荒砥石と中砥石を1つにしたものです。この組み合わせの両面の砥石は、研ぎの道具としてよく使われています。

片面が中砥石なら、1本目に求める「ふだんの切れ味を戻す」役目は果たせます。選ぶときは、どちらの面が中砥石なのかを、番手の表示で確かめておきます。

ステンレスの包丁にも同じ砥石を使える?

人造砥石は、鋼の包丁にもステンレスの包丁にも使えます。このことは「包丁の研ぎ方」でもご案内しました。家庭の包丁がステンレス製でも、中砥石から始める流れは変わりません。

研ぎ台は買ったほうがよい?

砥石は、研ぎ台か濡れタオルの上に置いて使います。研ぎ台が無くても、汚れてもよいタオルを濡らして敷けば始められます。

何も敷かずに置くと、研いでいる最中に砥石がすべって危ないので、研ぎ台か濡れタオルのどちらかは必ず使います。研ぐ回数が増えて、もっと安定させたくなったら、そのときに研ぎ台を考えても間に合います。

家にある古い砥石は使える?

家にある古い砥石を使う前に、次の3つを見ておきます。

面のへこみ

使い込んだ砥石は、面がへこんでいることがあります。使う前に、面直しの章の手順で平らに戻しておきます。

ひび

長く使っていなかった砥石は、ひび(割れ目)が入っていないかを見ます。

表示

番手や、使う前に水へ浸すタイプかどうかを、本体や箱の表示、説明書で確かめます。

小さなひびなら、その部分の表面を削り取ってから使います。ひびが大きいとき、直し方が分からないとき、表示も説明書も無いときは、無理に研ぎに使わず、1本目は新しく中砥石を選んで始めます。表示の無い砥石が天然砥石だった場合、水に浸しておくと割れることがあります。

砥石が1本決まったら、研ぐ手順へ進む

番手と水の使い方の2つを見て1本目の砥石が決まったら、研ぐ角度や包丁の持ち方、仕上がりの確かめ方は「包丁の研ぎ方」で順番にご案内しています。研ぎ器やシャープナーを使うか砥石にするかは、これから公開する「包丁研ぎ器・シャープナーの選び方」で比べます。

お問い合わせ

包丁は、当店で研ぎもできます。1本目の砥石選びで迷ったときは、この記事の表を見ながら比べてみてください。用途に合う道具や金物が分からないときは、お気軽にご相談ください。

ブログ一覧へ›

製品に関するご相談・お問い合わせ

お気軽にお問い合わせください。

メールで問い合わせる›