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住まいと暮らしのDIY

包丁の研ぎ方|初めてでも砥石で研げる手順と角度の目安

切れなくなった包丁を捨てるのは、もったいない。かといって、切れ味が落ちるたびに研ぎに出すのも手間がかかる。それなら一度、自分で研いでみよう。そう思い立ったときが始めどきです。砥石が1本あれば、包丁は家庭でも研げます。三徳包丁を例に、包丁メーカー各社の手入れの案内をもとに、答えを先にまとめ、そのあと準備から仕上げまで順にご案内します。

先に結論特に大切なのは、研いでいるあいだ刃の角度を変えないことと、刃の裏側にできるざらつき(かえり)を確かめてから次の工程へ進むことの2つです。準備から仕上げまでは、次の順番で進めます。
工程やること目安
砥石の準備砥石を水に浸し、濡れタオルの上に置く泡が出なくなるまで浸す
角度と持ち方利き手で柄を握り、包丁を砥石に対して約15度傾ける峰(刃の背)と砥石のあいだに小指が少し入るくらい
表(先に研ぐ面)を研ぐ押すときだけ軽く力を乗せて往復するかえりが刃先全体に出るまで
裏を研ぐ柄を持ち替え、表と同じ角度で研ぐかえりが表側に移るまで
仕上げ表側をもう一度軽く研ぎ、かえりを取る試し切りで引っかからなくなるまで

包丁を研ぐ合図は?

包丁の切れ味が落ちてきたかどうかは、毎日の料理の中で分かります。研ぐかどうか迷ったら、台所の次のような場面を思い出してみてください。

トマトの皮

刃を当てても皮に入らず、表面を滑るようになった。

鶏肉の皮

身は切れても、皮だけが切れずにつながって残る。

切るときの力

以前より押さえつけないと切れず、余分な力が要るようになった。

切れ味が落ちる原因として代表的なのは、刃先が少しずつすり減って丸くなることです。使っているうちに起きることで、硬いまな板の上で切ったり、切った食材を刃先で寄せ集めたりすると、すり減り方が早くなります。包丁メーカーの手入れの説明にも、同じことが書かれています。

研ぐ頻度の目安は、メーカーによっては月に1〜2回ほどと案内しています。ただ、毎日料理をするかどうかで刃の減り方は変わります。日にちで決めるより、上のような切れにくさを感じたときを合図にするほうが分かりやすくなります。

こう思っていませんか「研ぐのは難しそうだから、切れなくなっても力を入れて切ればいい」
力を入れて切るほど手元がぶれやすく、けがのもとにもなりがちです。無理な扱いを続けると、切れ味もさらに落ちていきます。研いで刃先を戻すほうが、料理がしやすくなります。

研ぐと決めたら、まずは砥石と置き場所の準備から始めます。

研ぐ前の準備(砥石に水を含ませ、動かないように置く)

家庭で研ぐなら、場所は台所がおすすめです。水をたくさん使い、研いだあとの汚れもシンクで流せます。用意するものは次のとおりです。

砥石

家庭で使うなら、中砥石(目の細かさを表す番手で#1000前後)が候補になります。

濡れタオルか研ぎ台

研ぎ台は、砥石を載せて固定する台です。どちらかを砥石の下に敷きます。

水を入れた容器

砥石を浸す桶と、研ぎながら砥石にかける水を用意します。

新聞紙・ふきん

研ぎ上がりの試し切りと、包丁の水気を拭くときに使います。

砥石には、代表的なものに「荒砥石」「中砥石」「仕上げ砥石」があります。刃が欠けたときは荒砥石、ふだんの切れ味を戻すには中砥石が候補になります。砥石の種類と選び方は、別の記事「砥石の選び方と使い方」で詳しく取り上げます。

準備で大事なのは、研ぐ前に砥石へ水を十分に含ませることです。水の中に入れると、砥石から小さな泡が上がってきます。この泡が出なくなったら使える合図です。浸す時間は案内によって5分ほどから20分ほどまで幅があるので、お手持ちの砥石の説明書に従ってください。浸したまま置きっぱなしにすると、ひび割れのもとになります。

水を含んだ砥石は、長い辺が体の正面から奥へ向かう縦長の向きにして、濡れタオルか研ぎ台の上に置きます。台の上に直に置くと、研いでいる途中で砥石が動いて危ないためです。高さは、肘より少し下、おへそのあたりが研ぎやすい位置とされています。

研ぐ角度と包丁の持ち方

研ぐときにいちばん大事なのは、砥石に当てる刃の角度を途中で変えないことです。両刃(左右の両側から刃がついている包丁)の目安は次のとおりです。

約15度峰と砥石のあいだに、小指が少し入るくらいの傾きです。

角度は10度から15度ほどと案内しているメーカーもあり、峰と砥石のすき間でいうと7〜10mmほどにあたります。

包丁は刃を手前に向け、真上から見て砥石の長い向きに対して斜め45度ほどに置きます。約15度は砥石の面から包丁を起こす傾きで、45度は砥石の上に置く向きのことです。

角度を保つには、包丁の持ち方が効いてきます。利き手で柄を握り、人差し指を峰に、親指をあご(刃の根元の角のあたり)に当てて、柄と合わせた3か所で支えます。こうすると、包丁が手の中で回らず、角度がぶれにくくなります。

反対の手は、人差し指と中指の2本を、いま研いでいる部分の刃の平らな面に軽く添えます。添えた指の下がいちばんよく研げるので、刃の先端(切っ先)、中ほど、根元(刃元)と研ぐ場所を変えるたびに、指もずらしていきます。

指は押さえつけず、添える程度にとどめます。添えた指が砥石に当たると、指の腹がすれてけがをすることがあるので、指先の位置にも気を配ります。

表を研ぐ(切っ先・中ほど・刃元に分けて)

持ち方が決まったら、いま砥石に当てている面(表)から研ぎます。両刃の包丁は、表と裏の両方を研ぎます。表を研ぐときは、包丁を奥へ押し出すときに軽く力を乗せ、手前へ戻すときは力を抜きます。

力を込めて押しつける
角度が変わりやすく、手元がぶれてけがをするもとにもなります。
腕の重さだけで動かす
角度が保ちやすく、砥石の上を滑らかに往復できます。

包丁の刃は、刃元から切っ先に向かってゆるやかに反っています。一度に刃全体を研ごうとせず、刃渡りを切っ先・中ほど・刃元など3〜4か所に分けて、それぞれ同じ角度で研ぎ進めます。切っ先を研ぐときは柄を少し持ち上げ、刃元を研ぐときは柄を少し下げると、反りに沿って砥石が当たります。

研いでいると、砥石の上の水が黒っぽく濁ってきます。削れた金属の細かい粉と砥石の粒が混ざったもので、「研ぎ汁」と呼ばれます。研ぎ汁は研ぐのを助けてくれるので、流さずに残したまま研ぎ続けます。砥石が乾いてきたら、容器の水を少しずつかけます。

研ぐ回数は、包丁の減り具合で変わります。回数を数えるより、次の章でご案内する「かえり」が出たかどうかで、表を研ぎ終えたかを判断します。

かえりが出たら裏を研ぐ

表を研ぎ進めると、刃先の裏側に、金属が薄くめくれたざらつきが出てきます。これが「かえり」(バリ、刃返りとも呼びます)です。刃先まで砥石が当たった印です。刃先まで研げていなければ、何回研いでも切れ味は戻りません。

かえりの確かめ方研いでいる面の裏側の刃先を、刃に沿って動かさず、峰の側から刃先へ向かって、指の腹で軽く触れて確かめます。髪の毛1本分ほどの引っかかりがあれば、かえりが出ています。刃先は鋭いので、力を入れず、触れる程度にとどめます。

かえりが切っ先から刃元まで全体に出ているかを、何か所かに分けて確かめます。一部だけに出ているときは、出ていない部分を同じ角度で研ぎ足します。

全体にかえりが出たら、裏側を研ぎます。柄を反対の手に持ち替え、刃先を手前に向けて砥石に置き、表と同じ角度で同じように往復させます。刃元の近くで柄が砥石に当たりそうになったら、包丁を砥石に対して直角に近い向きに置き直します。回数は表と同じくらいが目安です。裏を研ぐと、今度はかえりが表側に移ります。かえりが表側に出たら、裏を研ぎ終えた合図です。

かえりを取って仕上げ、包丁と砥石を片付ける

裏まで研ぎ終えた刃先の表側には、まだ薄いかえりが残っています。このかえりを取って、研ぎは仕上がりです。

かえりを取る

表側を、同じ角度でもう一度軽く研いで取ります。

試し切りをする

新聞紙や食材を切って、引っかからずに切れるかを見ます。

包丁を洗う

中性洗剤で洗って水でよくすすぎ、水気を拭き取ってからしまいます。

砥石を片付ける

水で洗い、日の当たらない所で乾かします。

試し切りで引っかかりが残るときは、その部分のかえりをもう一度取ります。このとき力を入れて研ぐと、研いで整えた刃先をつぶしてしまうので、軽く当てる程度にします。

片付ける前に、砥石の面も確かめます。砥石は使うたびに真ん中が少しずつへこみ、へこんだまま研ぐと角度が安定せず、うまく研げなくなることがあります。へこみを平らに戻す作業を「面直し」といい、やり方は「砥石の選び方と使い方」で取り上げます。

ここまでが、両刃の包丁を研ぐ流れです。台所には形や材質の違う包丁もあるので、次の章では違うところだけをご案内します。

片刃・ステンレス・波刃の包丁は?

ステンレスの包丁も合成砥石なら同じ手順で研げる

ステンレス製の両刃の包丁も、家庭で使われている合成砥石(人工の砥石)なら、ここまでと同じ手順で研げます。ホームセンターの手入れの案内でも、合成砥石は鋼とステンレスのどちらの包丁も研げると説明されています。鋼とステンレスの手入れの違いは、別の記事「包丁の錆び取りと日々の手入れ」でご案内します。

片刃の包丁は裏の研ぎ方が違う

出刃包丁や刺身包丁のように、片側だけに刃がついている包丁を片刃といいます。片刃は材質にかかわらず、表の斜めになった面を砥石にぴったり当てて研ぎ、かえりが出たら、平らな裏面を砥石にべったりつけて軽く研ぎ、かえりを取ります。両刃のように裏にも角度をつけて研がない点が違います。

波刃の包丁は砥石で研がない

パン切り包丁のように刃が波形になっている包丁は、メーカーによっては構造上、研ぎ直しができないと案内しています。一方で、波刃に対応した研ぎ器を用意しているメーカーもあります。砥石で研ごうとせず、まずお手持ちの包丁の説明書を確かめてください。

包丁研ぎでよくある失敗

初めて研ぐときにつまずきやすいところを、症状と直し方に分けてご案内します。

研いだのに切れない

かえりが刃全体に出る前に裏返している可能性があります。表に戻って研ぎ足します。

刃先が丸くなる

研いでいる途中で角度が変わっている可能性があります。持ち方の章に戻って構え直します。

切っ先や刃元だけ切れない

刃の反りに沿って砥石が当たっていない可能性があります。表を研ぐ章の分け方で研ぎ直します。

指の腹がすれて痛む

添えた指が砥石に当たっている可能性があります。刃の平らな面に軽く添え直します。

うまくいかないときは手を止め、当てはまる章を読み返してから続けます。

研ぎを重ねて、包丁を長く使う

最初からうまく研げなくても、回数を重ねるうちに、手が角度を覚えていきます。研ぎ終えた包丁で、トマトの皮にすっと刃が入るようになれば、研ぎは成功です。

包丁は、研いで刃先を戻しながら長く使える道具です。同じ刃物でも、カッターは刃先を折ったり入れ替えたりして新しくします。カッターの刃の替え方は、「カッター刃の交換・折り方・捨て方」にまとめています。手軽に刃を整える研ぎ器やシャープナーと砥石の違いは、別の記事「包丁研ぎ器・シャープナーの選び方」で比べる予定です。

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自分で研ぐのが不安なときは、当店で研ぎもできます。用途に合う道具や金物が分からないときは、お気軽にご相談ください。

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