ゼットソー265は、プロの大工や内装職人はもちろん、DIYユーザーからも高い評価を受けている定番の引き切りノコです。
「よく切れる」「軽い力で真っ直ぐ切れる」という評判を聞いて使い始めた方も多いのではないでしょうか。

しかし実際には、握り方・姿勢・力の入れ方が自己流のままだと、

「思ったほど切れない」
「ラインが曲がる」
「すぐに腕が疲れる」

といった悩みを感じるケースも少なくありません。
それは道具の性能ではなく、使い方によって本来の切れ味を引き出せていない状態なのです。

この記事では、日々現場でゼットソー265を使い込んでいる職人が実践している、

・ 最も疲れにくい握り方

・ 刃がブレにくくなる姿勢

・ スムーズに切れる力の入れ方

といったポイントを、初心者の方にもイメージしやすいよう、基本から丁寧に解説していきます。
「力を入れずに、気持ちよく切れる感覚」を身につけたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

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① ゼットソー265の基本構造を理解しよう

 

ゼットソー265は、日本の伝統的なのこぎりと同じく、「引いて切る」構造を持つ日本式ノコギリです。
この「引き切り」という特性こそが、軽い力で正確に切れる理由であり、同時に使い方を間違えると切りにくく感じてしまう原因でもあります。

引き切りノコは、刃を引いたときにテンション(張り)がかかり、刃が真っ直ぐに安定するよう設計されています。
そのため、ゼットソー265を使う際には、以下のポイントが特に重要になります。

・ 押すときは力を入れない
押す動作は刃を戻すための動きであり、ここで力を入れると刃がしなり、曲がりやすくなります。

・ 引く時だけ刃が木材にしっかり食い込む
切削はあくまで「引き」の動作が主役。ここで初めて刃の性能が発揮されます。

・ 軽いタッチでも真っ直ぐ切れるように設計されている
強い力を前提にしていないため、無理に押さえ込む必要はありません。

つまり、ゼットソー265は、力で切る道具ではなく、構造を理解して使う道具だと言えます。
力任せに動かすよりも、無駄な力を抜き、正しいフォームと動かし方を意識することが、切れ味と直進性を最大限に引き出すための最重要ポイントなのです。

 

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② 正しい握り方|力は「添える」程度でOK

ゼットソー265 正しい握り方

 

ゼットソー265を使いこなすうえで、最も影響が大きいのが握り方です。
多くの人が「切る道具=しっかり握るもの」と考えがちですが、引き切りノコであるゼットソー265に関しては、握りすぎないことが上達への近道になります。

ゼットソーは、刃の構造そのものが真っ直ぐ切れるように設計されています。
そのため、手で無理にコントロールしようとせず、刃の動きを邪魔しない握り方を意識することが重要です。

◆ 基本の握り方(職人のスタンダード)

1. 持ち手は中指・薬指・小指で軽く握る
この3本の指は、ノコギリを安定させるための「支え役」です。
強く握る必要はなく、落ちない程度に添える感覚で十分です。

2. 人差し指は少し伸ばし、指差すように添える
人差し指は力を入れる指ではなく、進行方向を感じ取るガイドの役割。
刃の向きやブレを指先で感じることで、自然と真っ直ぐ引けるようになります。

3. 親指はグリップの上に軽く添える
親指で強く押さえ込むのではなく、位置決めの補助として使います。
これにより、手首が安定し、余計な力が入りにくくなります。

4. グリップを「鷲づかみ」しない
力いっぱい握り込むと、手首が固定され、刃の自然な動きを妨げてしまいます。
ゼットソー265は、握らずに“預ける”感覚が理想です。

◆ NGの握り方

・ ギュッと強く握り、手首が固まっている

・ 指全体で包み込むように持っている

・ グリップの後方だけを握り、バランスが崩れている

これらの握り方をすると、刃のしなりや動きを手で無理に抑えてしまい、結果として

・ 刃が暴れる

・ 切るラインから逸れる

・ 無駄な力を使うため、すぐに疲れる

といったデメリットが出てきます。

ゼットソー265は、
「握る」のではなく「導く」道具です。
力を抜き、刃の動きを信じて使うことで、本来の切れ味と直進性がはっきりと体感できるようになります。

 

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③ 切りやすい姿勢|体の軸をノコギリに合わせる

ゼットソー265 正しい姿勢

 

ゼットソー265で安定して真っ直ぐ切るためには、握り方と同じくらい”姿勢”が重要です。
姿勢が崩れていると、どれだけ良いノコギリを使っていても、刃は自然とブレてしまいます。

ポイントは、ノコギリを動かそうとするのではなく、体の軸そのものをノコギリに合わせること。
これができると、余計な力を入れなくても、刃は驚くほど素直に進むようになります。

◆ 正しい姿勢(安定性が段違い)

・ 足は肩幅より少し広めに開く
足幅をやや広く取ることで、体の重心が安定し、切っている最中のフラつきが減ります。
特に引き動作の際、体が前後にブレにくくなるのが大きなメリットです。

・ 切る材の延長線上に「利き目側の肩」を合わせる
これは非常に重要なポイントです。
利き目・利き腕側の肩が刃の進行方向に入ることで、
視線・腕・刃のラインが一直線になり、無意識でも真っ直ぐ引きやすくなります。

・ 背筋を伸ばし、体は材に対してやや斜めに構える
真正面に立つよりも、少し斜めに構えることで、
腕の可動域が広がり、ストロークを大きく使えるようになります。
猫背になると刃先が下がりやすくなるため、背筋は軽く伸ばす意識が大切です。

・ 肘は締めすぎず、ゆるく構える
肘を体に固定しすぎると、動きがぎこちなくなります。
逆に開きすぎるとブレの原因に。
自然に下ろした位置で、力を抜いて構えるのが理想です。

◆ 職人がよく使うコツ

✔ 膝を軽く曲げると体の上下ブレが減る
膝を完全に伸ばした状態だと、引くたびに体が上下しやすくなります。
軽く曲げることでクッションが生まれ、刃の動きが安定します。

✔ 肩で動かさず、肘〜手首で振ると直進性が上がる
肩から大きく振ると、刃の軌道が円を描きやすくなります。
肘から先を中心に動かすことで、刃がレールの上を走るような直線的な動きになります。

✔ 腕だけでなく、体の重心移動も使うと疲れにくい
引く動作に合わせて、ほんの少し体重を後ろに乗せるだけでOK。
腕の力に頼らず切れるため、長時間作業でも疲れにくくなります。

 

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④ 力の入れ方|「引く」時だけ働かせる

ゼットソー265 力の入れ方 引き切り

 

ゼットソー265を気持ちよく、そして正確に使うための最大のポイントは、力を入れるタイミングを間違えないことです。

結論はとてもシンプルで、ゼットソーの力の使い方は「引く時だけ、必要な分だけ」ということになります。
これを守れるかどうかで、切りやすさは大きく変わります。

引き切りノコは、刃を引いた瞬間に刃全体へテンションがかかり、その張りによって刃が真っ直ぐに安定する構造です。
逆に、押す動作では刃にテンションがかからないため、ここで力を入れると、刃は簡単にしなって暴れてしまいます。

◆ 正しい力の入れ方

・ 押す時:重さを乗せるだけ(ほぼゼロ)
押す動作は、あくまで刃を元の位置に戻すための動きです。
力で切ろうとせず、ノコギリの自重を感じる程度で十分。
「刃を休ませる時間」だと考えると、自然に力が抜けます。

・ 引く時:軽く力を入れて“スッ”と引く
切削はこの引き動作で行います。
強く引く必要はなく、刃が木に吸い込まれる感覚を意識すると◎。
力を入れるというより、「仕事をさせる」イメージに近いです。

・ ストロークは大きめ(刃全体を使う)
短い動きで刻むより、刃の根元から先端までをしっかり使う方が、
切れ味も安定し、刃の寿命も延びます。
一定のリズムで、同じ長さを引くことがポイントです。

◆ よくある間違い

・ 押しながら切ろうとする
押す時に力が入ると、刃が曲がりやすくなり、
導入線から外れる原因になります。

・ 初動から全力で引く
切り始めは刃が安定していないため、
ここで力を入れると一気にブレます。
最初は特に「軽く」を意識することが大切です。

・ 細かいストロークで動かす
短い動きを繰り返すと、刃の角度が毎回微妙に変わり、
切断面が荒れやすくなります。

これらの動きはすべて、刃が本来持っている直進性を邪魔してしまう使い方です。

ゼットソー265は、力で押さえつけるほど切れる道具ではありません。
正しいタイミングで、必要な分だけ力を使うことで、「軽いのに、なぜか真っ直ぐ切れている」という感覚が自然と手に入ります。

この力加減が身につくと、切断精度だけでなく、疲れにくさも大きく変わってきます。

 

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⑤ 実際に切る時の流れ(手順)

ゼットソー265 切り方 手順

 

ここまで解説してきた「握り方」・「姿勢」・「力の入れ方」は、この「実際の切断手順」で初めてひとつにつながります。

ゼットソー265は、
最初 → 中盤 → 最後
それぞれで意識すべきポイントが微妙に異なります。
この流れを理解するだけで、失敗は一気に減ります。

① 刃を軽く当てて「導入の線」を作る

切り始めは、最も失敗しやすい場面です。
ここで焦ったり、いきなり力を入れたりすると、その後どれだけ丁寧に切っても、ラインは修正できません。

最初の2〜3ストロークは、ほぼ力を入れず、刃を当てて軽く引くだけでOKです。

この段階の目的は「切ること」ではなく、刃が進むための“溝(導入線)”を作ること。
この溝ができると、刃は自然とそこに収まり、以降は意識しなくても勝手に真っ直ぐ進むようになります。

ポイントは、
✔ 刃を信じて急がない
✔ 浅くてもいいので、真っ直ぐな導入を作る

です。

② ストロークを一定にし、リズムで切る

導入線ができたら、次はリズムを意識します。
ここで大切なのは、力の強さよりも動きの安定感です。

・ ストロークの長さを揃える

・ 引くスピードを一定にする

・ 毎回同じ軌道で刃を動かす

この3つを意識すると、「スースー、スーッ」という軽いリズムが生まれます。

力任せに引くよりも、一定のテンポで刃全体を使う方が、切断面は圧倒的にきれいになります。
ゼットソー265は、このリズムに入った瞬間が一番よく切れます。

③ 材の手前〜中央までは脱力重視

切り始めから材の中央付近までは、刃のガイドとなる部分がまだ浅く、最もブレやすいゾーンです。

この段階で意識したいのは、「切ろうとしないこと」です。

・ 握りは軽いまま

・ 押す時は完全に脱力

・ 引く時も必要最小限の力だけ

「ちゃんと切れているかな?」と不安になりやすい場面ですが、ここで力を足すと、逆に刃が暴れてしまいます。

「脱力しているのに、なぜか進んでいく」この感覚が正解です。

④ 最後の切り抜けはゆっくり

切断の終盤になると、材の支えが弱くなり、刃が抜けた瞬間に勢い余ってガクッといきやすくなります。

ここで早く切り終えようとしてスピードを上げると、

・ 切断面が欠ける

・ 仕上がりが荒れる

・ 刃が暴れて危険

といったトラブルが起きやすくなります。

最後は、ストロークを少し短くし、ゆっくり・丁寧に。
「切り抜く」のではなく、「刃を抜いていく」感覚を持つと失敗しません。

 

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⑥ よくあるトラブルと対処法

ゼットソー265 切れない 原因

 

ゼットソー265を使っていて「なんだか上手く切れない」「前より切りにくい気がする」と感じた場合、多くは道具ではなく使い方に原因があります。

ここでは、現場でもよく見かける代表的なトラブルと、その理由を整理します。
自分の症状と照らし合わせながら読むことで、改善点が見つけやすくなります。

◆ 刃が曲がる・ラインから逸れる

→ 握りが強すぎる
グリップを強く握り込むと、手首が固まり、刃の自然な直進性を手で無理に抑えてしまいます。
その結果、わずかな力の偏りでも刃が横に逃げやすくなります。

→ 押す時に力が入っている
押し動作は切削をしない工程ですが、ここで力が入ると刃がしなり、導入線から外れやすくなります。
「押す時は休憩」と考え、完全に脱力する意識が重要です。

→ 始動角度がズレている
切り始めの角度がズレていると、そのズレは最後まで引きずられます。
特に最初の2〜3ストロークで角度が決まるため、焦らず、刃を軽く当てて導入線を作ることが対策になります。

◆ 切る面がガタガタになる

→ ストロークが短い
短い動きを繰り返すと、刃の角度が毎回微妙に変わり、切断面が安定しません。
刃全体を使った大きなストロークの方が、結果的に切断面はきれいに仕上がります。

→ 力の入れ方が不安定
引くたびに力の強さが変わると、刃の食い込み量も毎回変わり、表面が荒れます。
強く引こうとせず、一定のリズムを意識することが改善の近道です。

→ のこぎりの軌道が毎回変わる
肘や肩がブレると、刃の通る軌道も安定しません。
姿勢を整え、同じラインをなぞるイメージで動かすことで、切断面は自然と揃ってきます。

◆ 手が疲れる

→ 力を入れすぎ
ゼットソー265は、軽い力で切れる設計です。
必要以上に力を使うと、前腕や手首に負担が集中します。
「もっと力を抜いていい」という意識が大切です。

→ 肩に力が入っている
肩が上がった状態で切ると、常に筋肉が緊張し、短時間でも疲れやすくなります。
切る前に一度肩の力を抜くだけでも、作業感は大きく変わります。

→ 刃の角度が合っていない
刃が寝すぎたり立ちすぎたりすると、無駄な摩擦が増え、余計な力が必要になります。
刃が木に自然に当たる角度を探ることで、驚くほど楽に切れるようになります。

 

⑦ 練習におすすめの方法

 

ゼットソー265は、感覚を掴めると一気に上達する道具です。
その感覚を最短で身につけるためには、目的を絞った練習がとても効果的です。

ここでは、現場でも初心者指導によく使われる、無駄のない練習方法を紹介します。

◆ 1:端材で「導入だけ」を練習する

この練習のポイントは、最後まで切る必要がないという点です。
むしろ、深く切ろうとしない方が効果があります。

やることはシンプルで、

・ 刃を当てる

・ 軽く2〜3回引く

・ 導入線が真っ直ぐ入っているかを見る

これだけでOKです。

導入線が
✔ 狙った位置に
✔ 余計なブレなく
✔ スッと作れる

ようになれば、切断の8割は成功したも同然です。
本番で急に切りやすく感じるようになるのは、この「最初の溝」が安定するからです。

◆ 2:左右どちらからでも切る練習

実際の現場やDIY作業では、毎回ベストな立ち位置から切れるとは限りません。

・ 壁際

・ 狭い場所

・ 材の向きが変えられない状況

こうした場面では、いつもと違う姿勢で切る必要があります。

左右どちらからでも切る練習をしておくと、

・ 姿勢が多少崩れても対応できる

・ 利き手・利き目の感覚を客観的に理解できる

・ 無理な力に気づきやすくなる

といったメリットがあります。
「上手く切れない側」こそ、フォーム改善のヒントが詰まっています。

◆ 3:切断面を見て原因分析する

切り終わったあとに、切断面を必ず観察することも重要な練習です。
切断面は、そのまま「使い方の結果」を表しています。

・ 曲がる → 力の偏り・姿勢のズレ
引くたびに力の方向が変わっている可能性があります。

・ 表面が荒い → ストローク不足・リズムの乱れ
刃全体を使えていないサインです。

・ ブレる → 握り方が強い・手首が固い
刃の動きを手で抑え込んでしまっています。

「失敗した」で終わらせず、切断面を見て原因を言語化することで、次の一回は確実に良くなります。

 

まとめ|ゼットソー265は「正しく握るだけ」で切れ味が変わる

 

ゼットソー265は非常に優秀なノコギリですが、握り方・姿勢・力の使い方が適切でなければ性能が活きません。

本日のポイントまとめ

・ 握りは軽く、人差し指を伸ばしてガイドにする

・ 姿勢は「肩を材の延長線上」に合わせる

・ 引く時だけ力を入れ、押す時は脱力

・ 最初の導入がすべてを決める

・ リズム重視で切ると直進性が上がる

この記事を参考にすれば、初心者でも
「まっすぐ・速く・軽い力で」
切れるようになります。

 

*ゼットソー265で真っ直ぐ切るためのコツを詳しく知りたい方はこちら:
ゼットソー265で真っ直ぐ切るためのコツ5選(初心者でもできる)

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