最近の住宅の建築方法が進歩して大工さんの作業の中で「削る」や「掘る」といった作業が圧倒的になくなっています。
その為、昔の大工さんだったら当たり前の持っていた大工道具も最近ではかなりの確率で見受けられなくなっていて、私どものような大工道具を取扱いしているような金物屋さんでも大工道具が売れる機会はかなり減ってきています。
ノミ、カンナ等と一緒に大工道具のひとつとして「墨壺」も大工道具の代表的な道具ですが、近年ではタジマから販売されているパーフェクト墨つぼを使われる方が圧倒的に多く現場レベルで木製の墨壺を使用している方は限りなくゼロに等しいように感じます。
タジマのパーフェクト墨つぼよりも木製の墨壺の方がかっこいい?
木製の墨壺よりも実用性があって持ち運びにも困らないのがタジマのパーフェクト墨つぼかと思います。タジマが建築道具メーカーにおいて現在の地位を確立させたひとつがパーフェクト墨つぼだと思います。
ただ、個人的な勝手な無い物ねだりなのかもしれませんが、木製の墨壺はプラスチックで出来たタジマのパーフェクト墨つぼとは違う「かっこよさ」があると思っています。
確かに利便性という点においてはタジマのパーフェクト墨つぼには適わないかもしれませんが、大工さんが木製の墨壺を持っているだけで周りの人間としては「お~~~!!」となります。
私どものお客様の中には工務店様もおられて一部の工務店さんは木製の墨壺を飾ってあったりします。木製の墨壺を飾ってあるだけでも
「ここの工務店って伝統があって腕が良さそう」
「大工さんってかっこいいな~」
とか心の中で思ってしまいます。
木製の墨壺を持っている=一昔前の大工さんが憧れの職業でかっこいいと思われるひとつの要因なように個人的には思っています。
木製の墨壺の使い方
木製の墨壺だからといって使い方が特別変わることもありません。タジマのパーフェクト墨つぼとほぼ同じ理屈です。
ネット上で木製の墨壺の使い方を紹介してある動画がありましたのでご紹介させて頂きます。
引用元:you tube
https://www.youtube.com/watch?v=0h70nm9allo
木製の墨壺のサイズ、規格
サイズに関しては現在の規格品としては150または180サイズから最大で300程度の木製の墨壺まで存在します。
木製の墨壺の値段
木製の墨壺の値段に関してはこれは正直ピンキリです。
数千円で手に入る木製の墨壺もあればうわさではウン万円、ウン百万円みたいな代物の木製の墨壺もあるんだとか・・・。
この木製の墨壺の値段の違いを生み出す部分は材木の材質でもサイズの違いでもありません。一番大きな要因は彫刻、デザインです。
要は木製の墨壺はひとつひとつハンドメードで作られます。木製の墨壺を作る職人さんというのが存在しています。この木製の墨壺を製造する職人さんがどれだけ手間隙かけて木製の墨壺を製造するかで値段が変わってきます。(木製の墨壺を製造する職人さんの人工みたいなものですね。)
デザインに関しては時間を掛ければ良いものが必ず出来るというものでもありませんが、木製の墨壺を製造する職人さんが時間を掛けずに製造する木製の墨壺よりは、やはり手間隙かけて製造される木製の墨壺の方がデザインの良いものが出来てきます。
近年では木製の墨壺を使われる機会も減ってきていて数多く市場に出回る事もないので、木製の墨壺を製造している職人さんも高齢化が進んでいて、そのうち木製の墨壺が市場に出回らないという日が来てしまうかもしれませんね。
*参考
墨壷壷静本若葉270mm墨坪墨つぼ墨壺壺静たまき工房
最後に
木製の墨壺を生で見る機会というのは近年では、ほとんどないかもしれません。ひょっとしたら木製の墨壺を一度も見た事がないという若い大工さん、職人さんもいっぱいいるかもしれません。
木製の墨壺はやっぱり実物を生で見ると「かっこいいな」と心の中で思うと思います。
木製の墨壺が現代の建築現場において作業効率が悪くて使う機会なんてそうそう無いというのは私どもとしましても理解できます。しかし木製の墨壺のかっこよさは今の大工さん達にも伝わるかと思っています。
コレクションのひとつでも良いので「木製の墨壺を持っている」という感覚が仕事や作業のやる気にも繋がってきますし、かっこいい大工さんのひとつの要因になるのではないでしょうか?